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HI370001.JPG

それは普通に棚の最前列に陳列されていた...

単純にウィンドウォッシャー液を買うつもりだった。
ただ見過ごせない言葉がそこにあった...
「セルフ給油専用ガソリン添加剤」...1本2,480円。
確かに自分はセルフ給油だ...何気なく手に取ってみた...

しまった...大きな不安が頭をよぎった。
「それ」は自分のような特別な人間を狙った巧妙なブービートラップかも知れなかった...
「セルフ給油専用ガソリン添加剤」...
そのネーミングには一瞬で客の心の隙間をつく巧妙さが感じられた。
訓練が足りなかったのか...あまりに単純で気づくのが遅れてしまった。
自分が「これ」を手に取った瞬間からどこかから撮影されている可能性があった。
赤いヘルメットを被った野呂圭介がプラカードを持って現れる瞬間が怖かった。
自分は「元祖どっきりカメラ200X」に登場する哀れな人間として日本テレビ系列で全国放映されてしまう危険を感じていた。
何気ない雰囲気を装い僕は最大限の集中力で周囲を観察した。
隣に立ってエンジンオイルを見ている男性は明らかに一般人だ。
彼は大きく「軽自動車専用」と書いてあるエンジンオイルを手に取った...
背後のヤンキー風の家族連れはテレビ局が用意した仕込みの人間では無いらしい。
子供が冬なのに裸足だ...きっと大丈夫だ...
10秒待ったが赤いヘルメットの野呂圭介は現れなかった。

「それ」は新製品のようだった。
先週は同じ棚に確かにウィンドウォッシャー液が並んでいた。
表のシールには「フルサービスにも使えます」と明記してある。
成分表を探したが見あたらなかった。
自分は「それ」が振動で爆発しないように慎重に棚に戻した。
「それ」は爆弾では無かったが明らかなブービートラップだった。

近年、自分にとってホームセンターはもはや安全な場所では無くなってしまった。
冬期は除雪器具コーナーが開設されるが、そこは最も危険な場所である。
北国の経験者なら理解できるが除雪器具には雪が付着しやすい。
自分は以前からシリコンスプレーを使用していた。
シリコンは水を弾くため雪が付着せずとても作業の効率が良い。
工具のコーナーでは1本198円で入手することができる。
昨年あたりから「除雪器具専用」を謳うシリコンスプレーが登場した。
昨年は「除雪器具用」だったものが今年は「ダンプ用」と「スコップ用」にさらに分化した。
自分だけが知っている「インターネット」という特別な情報網で調べた限りでは、
シリコンスプレー自体に大きな成分の違いは無いことがわかった。
実はブービートラップなのだ。
ここだけの話だが「インターネット」は素晴らしい情報源だ。

工具コーナーを偵察しても同じく198円のシリコンスプレーは存在していた。
ただ除雪器具コーナーのシリコンスプレーはそれに比べあまりに高価だ。
工具コーナーのシリコンスプレーに比べ缶の容量は半分で価格は倍以上なのだ。
ダンプ用の場合はさらに高価である。
日本は高齢化で北国の老人には冬は辛い季節である。
除雪はとても体力が必要な作業なのだ。雪は想像以上に重い。
高齢者の場合は除雪が楽になるなら何にでもすがりたい気持ちを持っている。
自分はそのシリコンスプレー作戦の背後に大きな陰謀があると考えた。
北国の除雪事情を知る人間の明らかな陰謀だ。
某国が日本の一般家庭の経済的破綻を狙っているのかもしれない。
店員に売場によってのシリコンスプレーの価格の違いを問う事も考えたが、
某国のスパイである可能性も考慮して諦めざるを得なかった。

しかし、そうこう考えているうちに、事態は悪化した。
見知らぬ老人が目前で「ダンプ用」シリコンスプレーを2本カゴに入れてしまった。
「向こうの工具コーナーなら倍の量で半額ですけど~」
喉まででかかった言葉を必死に飲み込んだ。
ここで自分の身分を軽率に露呈させることはできない。
自分には遂行しなければならない任務がある...
自分の無力さを痛感する瞬間だった。
「ごめんね...おじいさ~ん...」

その老人の背中を見送りながら気をあらためた。
再度、自らの任務を果たすべく自動車用品コーナーに向かった。
しかし...ここにもブービートラップは存在した。
同じ2リットルで598円と195円のウィンドウォッシャー液が並んでいた。
「甘いな...」
そう心につぶやいた。
慎重に背後を警戒しながら195円のウィンドウォッシャー液を2本カゴに入れた。
レジに並んでしまえば価格はただのバーコードでしかない。
僕は普通の客を装ってレジに並んだ。
「ピッ!」
バーコードリーダーは問題なく認識した。
金を支払い、今日も無事に店を脱出することができた。
任務完了...
任務を完了したときの高揚感は何にも代え難い。

しかし某国の陰謀はホームセンターのレベルにまで及んでいることが判明した。
ブービートラップは自分の想像以上に日常に潜んでいる。
冬のホームセンターは特に危険だ。
今日も目前で犠牲者を出してしまった。
だが自分のような任務を帯びた人間には生死をかける戦いに慣れる事も必要だ。
戦いに小さな犠牲はつきものなのだ。
この現状を秘密の情報網「インターネット」で全世界に訴えるべきなのか...

現代の「買い物」はあまりにスリルに満ちている。


■ブービートラップ(Booby trap)
一見無害に見えるものに仕掛けられ、油断した兵士(まぬけ:booby)が触れると爆発し殺傷する。
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2006.12.16 Sat l 超主観的ひとりごと l COM(0) TB(0) l top ▲

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